2014年7月14日月曜日

第2回講座レポート


高知より参加しています受講生の藤岡です。
私が所属するNPO法人蛸蔵は、高知市に設けた多目的施設「蛸蔵」の運営を通して、美術、音楽、演劇、映画の4ジャンルを中心に、その制作並びに発表の場を提供することを目的としています。
6/28()にサンポートホール高松会議室で、講座「新しい広場をつくる」の第2回目が行われました。
 
 
今回、最も興味深かったのは「劇場は生き物である」という概念でした。
劇場法のない時代、公的資金によって作られた劇場は本来の目的である「優れた芸術を国民に届ける」ことを忘れてしまいました。
官僚主義的な運営によって貸館業務や鑑賞事業を行うことが主目的となり、一部の芸術愛好者だけの欲求に対応すれば良いという体質の硬直化を招いたからです。
これでは芸術文化はただの消費財となり、それを生み出す芸術家への敬意が生まれるはずもありません。
多くの市民にとって劇場は近くて遠い存在、体温の感じられないハコモノ行政の産物となってしまいました。
ですが今、劇場は変わろうとしています。
劇場側の常識ではなく、市民を中心とした考え方に、存在に。
そのためのワークショップやアウトリーチ活動も積極的に行い始めました。
芸術が不断の活動によって支えられる必要がある以上、その受け皿である劇場自身が創造・発信事業をしないことは、少なくとも政令都市レベルでは「人類に対する責任の放棄である」と平田さんはおっしゃいました。
 
 
創造発信事業を行うことで生まれるものはたくさんあります。
市民との交流。
優れた芸術監督による優れた人材の育成と良質なプログラムの創造。
そして、それは東京を経由しない、自分たちの住む土地から生まれた芸術として市民が誇りを持つきっかけとなり、シティプロモーションとして公共性をしっかりと確保します。
これからの劇場はこのミッションを成し遂げるために地域社会とどう繋がってゆくのか、そのスキームを作る必要に迫られています。
劇場は物体(ハコ)としてのモノではなく「手段」なのです。様々なやり方や考えを試し、育ててゆく必要がある、まさに生きている存在です。
私たち市民も劇場と一緒になって「自分たちの街をどのようなに創るのか、どのような市民生活の創出、コミュニティの形成に期待するのか」という視点をもってゆきたいと思います。