2014年8月31日日曜日

選択プログラム②参加レポート

 
受講生の横山です。図書館で絵本の読み聞かせのボランティアをしています。
 
私が参加したのは、選択プログラム②
子供向けダンスと演劇のワークショップ
「動きのなかで学ぶこと」「自由にいっしょに創る喜び」です。
 
これは、6日間にわたりクリエイティブ・ダンスやシアター・インプロ(即興演劇)を経験するもので、4日間は四国学院大学のダンススタジオにて。残り2日は丸亀市猪熊弦一郎現代美術館のミュージアムホールにて。最終日には、一般の方向けに成果発表会(ショーイング)を行いました。

私は四国学院大学の学生さんと一緒にアシスタントを務めました。
午前はダンス、午後はインプロ。私は午後からの参加でした。
お昼休憩の時間に合流し、子どもたちや午前からのアシスタントの方と一緒に弁当を食べ、昼から一緒に体を動かしました。


 
ワークショップの中では、色々なゲームをしました。
多くの人数でするものには難しさもあります。ゲームは、体だけでなく頭も使います。工夫や協力をしてうまくいくと、より嬉しいものです。時には悔しいこともあり、色々な気持ちが入り混じりますが、これは一人では体験できないことです。子どもにとっては意味のあるものだと思いました。


そんな体験の中、子どもたちは即興演劇をしました。
即興というと難しそうですが、意外と楽しいものでした。
確かに、劇として面白く進めていくにはコツが必要です。けれど基本的には自由な発想で良く、どんなものでも周りの人は受け止めて、つないでいきました。怖がらず自由に表現していいのだと思える場や雰囲気が、何より楽しく感じました。
 
子どもの発想には思いもよらないものがあります。いろいろな違いもあります。自分だけでは気付けない、それぞれの良さに気付くことは、自分の世界を広げてくれると思いました。
 
 
そんなふうに皆で出し合ったものや、それまでワークショップでやってきたことをもとに、発表をすることになりました。
 
ひとつのものを創り上げるには、力を合わせ助け合うことが必要になってきます。最初は、どうすればよいか分からなかったことにも、だんだん気付いていきました。それでも、すぐに上手くはいかないものですが、数日かけて取り組むうちに変化はありました。
講師の先生はそれを取りあげ、どういうところが良かったのか皆に伝えていました。
その子自身も他の子も、そのことの意味を知り、また次への意欲につながっていくのではないかと思いました。

発表の場では、更に子どもたちの成長が見られたと思います。人に見てもらうためには、
より集中しなければなりません。伝えようとする気持ちにも、更にエネルギーが必要に
なります。そうして皆で一緒に頑張れたことは、ひとつの自信になったのではないでしょうか。


 
 
即興演劇の基本精神は「自由と協調」だと先生が言われていましたが、それは子どもが成長していく上でとても大切なことだと思いました。アシスタントとしてそれを目指して皆さんと一緒に取り組めたことは、自分自身にとっても大きな意味がありました。
 
今回、アシスタントとしての参加は初めてで、子どもたちとも初対面でした。
初めてご一緒する方たちに混じって、動けるのか不安に思うこともありました。けれど、知らない同士でも一緒に色々なことに取り組めて良かったです。

参加の子どもは、小学生の低学年から高学年と幅も広く、接し方に迷うこともありました。しかし、打ち合わせの中で考え方など話を聞くうちに、共通理解できていったように思います。
対象が大人なら問題なく進むことでも、子どもならではの性質のため、難しいこともあります。考え方が分かったとしても応え方はひとつではなく、うまくいくかどうかは 結局やってみなければわかりません。おそらく、一人一人に応じた関わり方もあるのだと思います。あれがダメなら これならどうかと考え、やってみること。その繰り返しの中で分かることもあるのだと思いました。

私自身、3人の子育ての真っ最中です。
普段の子育てと重ねて考えさせられることも多くありました。
だめだと分かりつつも繰り返してしまうことを変えるには、それなりの工夫や挑戦が必要なのだと思いました。今回のアシスタントを通して、そんな日常に向き合う意欲を持つことができたのは、自分自身のささやかな成果かもしれません。
 

2014年8月21日木曜日

第4回講座レポート


普段は車移動なのですが、前回は台風のためJRで平田さんの講座を受けに行きました。
愛媛県松山市にある民間小劇場シアターねこで運営スタッフをしている山本清文です。
簡単に自己紹介をさせていただきますと、僕は東京都杉並区立の公共劇場『座・高円寺』にある劇場創造アカデミー(一期生・俳優コース)出身です。俳優の勉強はもちろん劇場がどのように街と繋がっているか?などを学び、シアターねこの設立に伴い帰郷、現在はシアターねこの運営の傍ら、劇団ステッキと即興演劇シーソーズという2つの団体を主宰し演劇活動をしています。
生業としては、演劇ワークショップを地域のお年寄りや、保育園、ママさん向け、消防士さん、クリーニング屋さんテレビ局などの企業、小中高校、大学など教育機関で行ったり、地元のテレビ・ラジオ局で番組に出演するなどしています。

自己紹介が長くなりました。

 
さて、平田オリザさんの講座ですが台風のため午前中のみの開催となりました。
参加者もいつもよりも少ない様子でした。
 
まずは「アウトリーチとは何か?」という話。
 
 

▼アウトリーチを行う理由

・ニーズを掘り起こすため

・普段芸術文化に触れる機会が少ない方、劇場に来ることが出来ない方へアプローチするため

・ニーズの方向に向かって積極的に働きかけるため

・施設への理解を深めてもらう活動

などが挙げられていました。

「アウトリーチ」という言葉だけに、「劇場の外で行うこと=アウトリーチ」という意味にで使っている方も多い(狭義のアウトリーチ)ようだが、必ずしもそうではない(広義のアウトリーチ)があるという話でした。

▼広義のアウトリーチ

パンフの配付

ホームページの作成

バックステージツアー

 
▼狭義のアウトリーチ

教育普及事業

学校/病院への訪問

公民館などでのワークショップ

 
この話の後で、「広報宣伝カーはアウトリーチか?」という問が参加者に投げかけられました。
平田さんの考えでは、「双方向のやりとりがあるものをアウトリーチ呼びたい」とのことでした。企画・広報宣伝を行う上で、私は一つの考え方の軸になる話だなと思いました。

 
続いて、「集客手段としてのアウトリーチ」の話。

演劇の場合であれば、上演の何週か前に作家/演出家の講演会や、その作品の戯曲を使ったようなテキストワークショップ。鑑賞教室や授業内容と連動させることも可能だという話でした。

アーティストに依頼する前に地域のことを知ることが大事だということ。
高校に演劇部がいくつくらいあるか?
国語科の熱心な先生がいるか?
公民館がいくつあるか?
福祉施設や作業所はどのくらいあるか?
どを調べておく必要があるということでした。

平田さんが芸術監督をされていた「キラリふじみ」での障がい者向けワークショップの話は、興味深く、公演の空き時間に障がい者の方と行ったワークショップが好評だった様子で、その後も劇場と良い関係が取れていて、定期的にワークショップも行っている上に、今でも「キラリふじみ」は障がい者施設の方の散歩コースになっているそうです。
劇場の雰囲気も、イメージも良くなる貴重な存在だという話でした。


そして依頼するアーティストの特性を活かした内容にすること。
アーティストにお願いする予算をケチらないこと。
将来に向けて若手アーティストに来てもらうと、低予算でも相談に乗ってくれる可能性があること。
他のホールとのツアーなどを行うことも可能だという話が出ていました。

ワークショップなどのアウトリーチ活動は定期的に行うこと。少しずつ輪を広げ広範囲で行うことが大切だということでした。
また具体的に学校の先生、看護師さん、労働組合などターゲットを絞り込んで行うことも大切なポイントだということでした。

また、最近は映画がデジタル化されており、デジタルの映写機を購入することが必要だが、招聘するアーティスト、俳優さんにゆかりのある映画を上映する企画がお勧めだという話でした。
 
 

「実際のアウトリーチ活動に向けて」

・広報/募集を早めに行う

・学校暦を把握する(テスト・進学・就職・学年・学期・運動会など)

・キーパーソンを掴む(国語の熱心な先生など)

・教育委員会との連携

・議会対策

議会対策では、平田さんのワークショップを受けに来る議員さんがいる話が出ました。
刺激を受けた議員さんがひとりいるだけで、変わる町が実際にあった話でした。

最後は、近代芸術と現代アートの違いについての話です。

なかなか文字で上手くまとめられませんが、

・近代芸術・・・・イデオロギーあった。作家にテーマ性があり、それを伝える。

・現代アート・・・アーティストは、『世界がどう見えているか』を作品にして提示する。

というような感じでしょうか。

 
この日の私の感想としては、公共施設/劇場を運営するスタッフも広義の意味のアーティストではないか?ということです。

自分たちが住んでいる街はどんな街か?
街の抱える問題は何か?
公共施設/劇場のミッションは何か?
どのような企画が必要か?
それに相応しいアーティストは誰か?
そのアーティストと何ができるか?
 
それを限られた予算の中で実行すること。

私たちが「世界、あるいは私たちの街をどう見ているか?」ということが企画に反映されなければならないのだと感じました。

2014年8月4日月曜日

第3回講座レポート


受講生の長井です

7/19()にサンポートホール高松会議室にて、
アートマネジメント講座、第3回「サンポートホール高松の現状と未来」が行われました。

劇場法が施行されてから2年、地方での劇場のあり方とは...
今回のテーマが「サンポートホール高松の現状と未来」ということで、講師の八木さんの話はサンポートホール高松がある「高松市について」から始まりました。
 


40万人都市の高松。
その人口割合は15歳以下が約20パーセント
       20歳~59歳が約50パーセント
       60歳以上が約30パーセント

現在のサンポートホール高松を支える顧客層は60歳以上。
次世代の顧客を育てるため、劇場へ来るきっかけづくりをいかに行うか、ということが課題として挙げられていました。

そして話はサンポートホール高松の利用状況に移ります。
サンポートホール高松には、

・大ホール
・第1小ホール
・第2小ホール
(・3つのリハーサル室)
(・6つの練習室)
 
といった施設があります。
上記施設の利用状況はおよそ80パーセント。
利用ジャンルとして、ホール利用の40パーセントが会議や講演会。
47パーセントが芸術分野(そのうちの38パーセントが音楽)とのこと。

それらイベントの入場率はサンポートホール高松の自主事業で約70パーセント。
貸館としては約55パーセントという話でした。

これらの数字を一概に多い、少ないと語ることはできません。
しかし、講座を通して、
サンポートホール高松に関わるアクティブユーザーとしての若い人、大学生くらいの年齢の人たちの影をあまり見ることができなかった、という話が、良くも悪くも、個人的にはとても印象的でした。

高松市は昔から、四国の玄関口として四国を統括する各官公庁、上場企業の支店が集中している町であり、俗に「支店経済」などと呼ばれる地域です。
しかし、情報インフラの整備により支店が撤退し、外からの人の流入が減少していて、今後爆発的に人口が伸びることを想像するのは難しいそうです。

その中でサンポートホール高松という地方劇場で誰が何を創造するか、
創造することが出来るか。
そういったことが重要になってきます。

そして、劇場が貸館業務から市民参加を促す事業型へと変わっていくこと。
そういった活動も、今後とても大切なことだということも学びました。